DECEMBER 2017

Keio Med. Sports

 

山岳部

井上 洋輔 (学1)

 

今部活の在り方が問われている山岳部の主将井上くん。

これを読めば登山に対するイメージがきっとかわるはず。

 

・医学部3年 倉堀智一君

山岳部を引っ張る井上くん!
彼の山への愛情は海よりも深い!スキー部とも兼部しており、まさに文武両道である。

井上、これからも頼りにしています。

Elegant pictures by mugley Taken from flickr, under creative common. If you keep any of these pictures in your final website, please keep this credit too, thanks

・山に登るのが好きっていう気持ちがすごく伝わってくる...山に登っていて、楽しい瞬間っていつなの?山頂についた時とか、降りきった時の達成感とか?

僕自身は、自分がほかでもない、山にいるって思った瞬間かな。その瞬間が一番ワクワクするし、怖い。でもそれが一番僕にとっての山の本質を捉えていると思う。山頂とかは逆に棒が立っていたり、人がいたりするから...。そうではなくて本当に何でもないところで、疲れたなあって思って後ろをふっと見ると広大な山が広がっていて、前を見たら仲間がいて、っていう瞬間、ああ僕は山にいるんだって思う。

 

・楽しいことだけではないと思うけど、登っていて、もう無理って思うことはあるの?

僕は無いね、普通の部活ではもう動かないって言ってもいいかもしれないけど、山ではもう動かないってなったらどうするのって感じ。そういうことはありえない。メンバーがそのようになるのはあり得るけど、リーダーはメンバーがそうならないように全て把握しなければならない。

 

 

・医学部4年 舘田賢一君

医学部山岳部期待の新主将!

山登りの知識、そして何より山への情熱は山岳部でもピカイチ!持ち前のポジティブさとタフさで山岳部を引っ張ってくれています。山の中でも、どんな状況でも明るく振舞ってくれるため、いつも元気をもらっています。

これからその情熱で山岳部を導いてくれることを期待しています!

・1回に大体何人で登るんですか?

その時に行ける人、行きたい人の人数によってまちまちかな。1人のこともあるし、7,8人で登ったこともある。僕個人的には1,2か月に1回山に登れればいいと思ってるかな。夏山と冬山ってことでもまちまちだけどね。

・今まで登った山にはどんなものがあるの?

中学の時からかれこれ10年くらい山に登ってるけど、登ったことがあるのは、那須高原の山とか、白馬岳、表銀座、北アルプス、東北の山、北関東、奥多摩とか本当に色々なところの山に登ったね。山があればそこがフィールドだから。高校の時とかは南アルプス、北アルプス、中央アルプスとか、北海道の山にも遠征してたね。1年生の時に事故が起こったから、大学に入ってからはあまり登ってないかな。

 

・なぜ中学1年生の時に山岳部に入ろうと思ったの?

競争がしたくなかったんだよね。他のスポーツは、競い合いながら高め合う。でも山は圧倒的な自然を前に、人類はたまたま居合わせただけだろうが同じ団体であろうが、協力し合いながら共に目標達成するしかないんだから、そこに敵も味方も無いんだよね。だからそれはいいなって思って。

 

・部活とかじゃなくて個人的に登ることもあるの?

基本的には事故が起きるリスクもあるわけだから、あまりやって欲しくは無いかな。でも部活の方に声をかけて、僕も勝手に東北の飯豊連峰に4泊5日とかでいったこともあるよ。

 

・4泊5日!長く感じるけど、それって普通なの?

僕的には普通だけど、医学部山岳部的には長い方かな。なかなかスケジュールも合わないからね。。

慶應義塾大学医学部体育会 

 

・山岳部って医学部体育会の中ではあまり知られていない部活かな...と思うのですが、何人くらいいるんですか?

大会とかないからあまり知られていないかもね。でもいつも大体15人くらいはいるかな。兼部している人も半分くらいいて、医学部体育会と兼部している人もいるし、他の文化団体とかとやっている人も多いかな。MD-PhDとか、メインの部活引退した後とかの人もいる。

僕は山がメインで心の8割は山で占められているんだけど、山がメインって人は少なくて。だからこそ部員1人1人が異なるバックグラウンドを持っているから、そういう人たちで集まって話すと面白くて得るものは大きいね。

 

・山岳部って山に登る部活...いつも何をしてるの?

週1回集まってミーティングみたいなことを週1回してるね。でも次山に登る人とか、来れる人が集まる感じだから柔軟性はものすごくあるよね。笑

 

・ミーティング...?

内容としては大きく分けて2つかな。

まずは勉強会。次登る山の地形、天気、野生動物、歩行技術、生活技術とかを調べたりするのがこれ。

そしてその次に続くのが討論。山っていうのは、山の上で口論してはけないんだよね。口論しなきゃいけないのは得てして危機的状況で、みんなが冷静な判断ができない時なんだよね。だから山の上ではいかなる時でもリーダーの言うことに従わなければいけないっていう鉄則がある。でもリーダーは完璧ではなく間違えることもある。だから、議論になる前に予めメンバー全員で、起こりうるあらゆる想定をして議論をつくしておいて、こうなったらこうする、という取り決めを作っておいて山の上ではそれに従って行動する、っていうシステム。こうやってあらゆる可能性に備えるんだよね。

 

・起こりうるあらゆる可能性って例えば...?

天候が悪化した時とか、どのくらいの雨が降ったら中止するか、どのくらいの風だったら駄目か、部員が怪我をしたらどうするか、けがをしたらどのルートで逃げ帰るか、逃げることは可能なのか、クマに出会ったら等々...

 

 

 

 

 

部員から他己紹介!

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・医学部山岳部的には何泊くらいが普通なの?

普通はっていうのは難しい質問かな。2年前に1回事故が起きて、今医学部山岳部の在り方がすごく問われているのね。

だから、これから部活をどういう風に、どういう泊数で山に登るのか慣例を作るっていうのが自分自身の使命だと思っているんだよね。前は9泊くらい雪山に行っていたこともあるけど、最近は雪のない時期の1泊2日とかが主かな。山っていうのは危険なものだから、危険なものを部として強いることはできない。だから部員の行きたいという気持ちがなければ、そこに連れていくことは正当化できない。みんなが行きたいって思って、客観的にも行けるって思えるところを選ぶと、それくらいに落ち着くんだよね。これから増やしていきたいとは思っているけど。

 

・なるほど...やっぱり山に登る頻度も減ってる...?

そうだね。事故が起きた翌年とかは登らなかったから、これから部活を作っていくという状態。どういう風にすれば部員全員が登山を楽しむことができるかという新しいシステムを作っていかなければならない。最近高校とかでも遭難事故が起きていて、社会の登山に向ける目って厳しいものがある。だから難しい。

 

・事故があって、山に登るのが怖くなったりはしなかったの?

僕自身は、2年前の先輩の死亡事故もあったけど、僕の高校の同級生が山で亡くなるという経験もした。人が死ぬっていう一番大きい出来事を通して、自分は何故こんなことをやっているんだろうと考えることは何回もあった。それでも自分は登ろうって思って今もここにいる。個人的には登山は欠かせないものであって、営みであって、生業なんだよね。

 

・でも、部員にはそのように思えない人もいるのでは?

もちろんいる。だからこそ、前と同じ水準では登れていなくて、でもそれは悪いことだとは思っていない。部員自身が山っていうものが自分にとってどのようなものなのか、と見つめ直しているということだからね。

山は、適切なものに登れば、良いものだと思っている。部員も良い山に登った経験は誰しもあるから、その良い山に登りたいとはみんな思っている。でも怖い所、危険な所には行きたくないとは多かれ少なかれ思っている。だから、みんなが行きたいって思うところのベースをまず自分が見つけて、そこに登ってもらう。登った時に、山頂に立って見える他の山を見て、あの山に登りたいなって思ってくれるのを待ってる。僕は強制はしない。あくまでも個人が思う。それが大事。

・私まで山に登りたくなってきた...

山っていうのは、仲間を見つめる機会でもあるし、相手の心を深く問う機会でもある。あと自然を全て肌で目で心で感じて、それに対して適切な対応をしなきゃいけない。その2つを問うことによって自分自身が一番問われる。相手のことをこう思っている自分とは何なのか、自然のことをこう思っているけど自分はそれに対処できるのか。そういうことをやっていく経験というのは将来医者になった時に有意義なことだと思うんだよね。医者というのは、人間を科学的に自然として見ていくわけで、でも人間の心にも向き合わなきゃいけない訳だからね。医者という人間を扱うものであり、かつ自然を扱う職業の人は皆、良い医者になるために登山はかけがえのない経験になると僕自身は思っている。だからみんな、登山をして自分自身にとって良い山を見つけてほしい。

 

ーインタビューをしていて鳥肌が立つほどの思いを感じました。

怖いけどでも山に登ってみたい...皆さんがそう感じたのではないでしょうか。

・リーダーがメンバーの全てを把握する??

全てのメンバーが自分のことだけでいっぱいいっぱいにならず、余裕持って登れるようにするために、リーダーはメンバーの今の体力、精神力、考え方であったりとか、全てを把握することが必要なんだよね。それってメンバーになりきるってこと。それは理想論だけど、その理想にむけて近づくって努力を常にしなくちゃいけなくて、それに加えてメンバーに影響を与える自然、今の天気を肌で感じて、今どこにいるかを正確に捉えて、ということもする。それをもとに休憩とか、適切な処理を加えて、メンバーを励まして、そういうコミュニケーションを通じて辛い状況でも鼓舞し続けることが必要。僕がもう無理ってなったことが無いのは、僕がついたリーダーがそういうことをやってくれてたから。僕もメンバーのことをすべて把握できるリーダーにならなければいけないと思ってる。

・なるほど...本当にメンバーの全てを知っていないと、だね。

そうだね。本当に疲れて、歩けない状況になってからじゃないと疲れたって言わない人もいるし、歩けるけど疲れたって思った時につかれたって言う人もいるし、同じように表面から見えたとしてもその人の考え方とか思考回路を知らないと向き合えないんだよね。

・すごく部員同士深く関わり合うことができそうだね。

話す以外に他にやることもない状況下で同じテントの下で2,3日一緒にいれば、大体人間性とかは分かってくるものだよ。一緒に山に登れば全てが分かる。

・今まで登ってきて一番大変だった山ってある?

どれもすごく大変で思い入れは深いけど、高2の時の北アルプスかな。

2人で9日間登ってたけど、その時は辛かったといえば辛かったし、一番多くのものを得た、確立されたなって思ってる。 同じ人と9日間一緒にいるという体験、ゲームもテレビも無い状況で、2人で寝食を共にして、2人で同じものを作って同じものを食べて、同じ天気を感じて同じ道を歩くっていうことを永遠に繰り返した。その間にコミュニケーションを取ることで相手自身が見えるってことはもちろんだけど、それは同時に自分も相手に見られてるってことになるし、それってつまり自分自身で自分を取ることになる。そういう意味で奥は深かったかな。